「ガスタービン油や蒸気タービン油中のバーニッシュ(ワニス)の兆候検知し、直ちに”プロアクティブ戦略を取るための最善策”を現場に助言できますか?」
そもそもバーニッシュとは?
タービン機器の中のバーニッシュは、極めて深刻な影響を及ぼす。制御は不可能であり、よくメンテナンスされた機械でも起こり得るのだ。しかし適切な監視とバーニッシュ除去の技術があれば、機械故障のリスクは軽減でき、生産の機会損失も抑えることができる。
潤滑部品の例では、バーニッシュは厚い膜状の堆積物として内部部品に発生し、固着および機械停止の原因となる。概して、これらの堆積物は、熱硬化によって硬いエナメル質の膜に変化し、オイルフローや機械の動力部の妨げによる故障のリスクを増加させ、フィルターを詰まらせ、熱伝達効果を減じてしまう。バーニッシュ生成要因となるものには、熱、空気、水分、汚染物質がある。
以下は、ガス/蒸気タービンシステムの双方に発生しうるバーニッシュの例である。
バーニッシュの検出は非常に難しい。標準的なオイル分析の適用では、油中のバーニッシュは何の兆候も示さない可能性がある。バーニッシュ検出の最善の方法は、適切なテスト項目に則った代表的なサンプルを採取し、正確なオイル分析を実施することにつきる。この戦略の適用は、バーニッシュが連鎖的不具合から致命的故障を引き起こさないよう、早期の予防保全につながるのだ。
対処療法
一旦バーニッシュがシステム内で検知されたら、ただちに二つのプロアクティブ(原因除去型)保全戦略にかかること。まず着手すべきは、電荷を帯びた汚染物質(プラスとマイナスの極性電荷をかける)による浄油技術の適用である。流体を浄化し、バーニッシュが油中から除去された状態を保つことができる。
二番目に着手する方法としては、システム内に過度のバーニッシュが存在する時に用いる。オフライン濾過か、化学的浄油である。しかしこれらの方法は、システム停止の頻度を上げてしまうため、コスト負荷が高い。化学物質によるシステム系統のフラッシングは、汚染物質を軟化させ、微細フィルターによって除去する方法である。この工程は、バーニッシュの量により数時間から数日を要することがある。システム系統は、新油が再び汚染されないように徹底してフラッシングを実施しなければならない。
バーニッシュに対抗するために複数の方法や試験を適用したとしても、プロアクティブであることがカギである。
常に思い描こう。実践的で優れた操作と継続的な状態監視こそ、最善の防御であると。
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専門家の一言
我々は、上記のような硬いラッカー状の汚染堆積物をバーニッシュ(Varnish)と呼称致します。今後の重要キーワードですので、ぜひご記憶下さい。
油中の汚染物質管理のうち、もっとも課題が多く、やっかいなのがバーニッシュです。バーニッシュが問題になるのは、発電タービンだけではありません。風力システムや製紙機械など、多くの用途で発生しています。
伊澤 一康(KEW Engineering アソシエイト・コンサルタント)
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