このセミナーでは、機械の状態監視や保守の現場で実践する業務に役立つ以下のような知識・ ノウハウを習得していただきます。現場で期待されるオイル分析士の最高峰の資格です。
本セミナーの受講対象者は、潤滑専門士もしくは潤滑エンジニア、プロジェクト・マネージャー、PDM担当の専門士・エンジニア・管理者、信頼性担当の専門士・エンジニア・専門マネージャー、保守担当の専門士・エンジニアなどの職位にあり、オイル分析プログラムを管理したり、上級診断士として現場で能力を発揮されている方々です。
I. 潤滑の基礎
A. 潤滑形態
1. 流体潤滑
2. 弾性流体潤滑
3. 境界潤滑
B. 基油
1. 一般的な鉱油の特性
a) パラフィン系
b) ナフテン系
2. 一般的な合成油の特性(長所と短所)
a) 炭化水素油
b) 亜リン酸エステル
c) 二塩基酸エステル
d) ポリグリコール
C. (アメリカ石油協会・その他の基油分類)
D. 潤滑油添加剤の基本的な機能
1. 抗酸化剤/酸化抑制剤
2. さび止め剤
3. 腐食防止剤
4. 抗乳化剤
5. 粘度指数向上剤
6. 清浄剤
7. 分散剤
8. 流動点降下剤
9. 消泡剤
10. 耐摩耗剤
11. 極圧添加剤
II. 機械摩耗の基礎
A. 摩耗のメカニズム
1. アブレシブ摩耗
a) 二体
b) 三体
2. 凝着摩耗
3. 表面疲労
4. 腐食摩耗
5. フレッチング摩耗
6. 浸食摩耗
7. 電気的摩耗
8. キャビテーション摩耗
a) ガスキャビテーション
b) 蒸気キャビテーション
B. 各機械の一般的な摩耗モード
1. ギヤ
2. 平軸受
3. 転がり軸受
4. 油圧システム
III. 摩耗粉分析
A. 分析フェログラフィ
1. 摩耗粉分析技術
a) 光の効果
b) 磁気の効果
c) 熱処理
d) 化学処理
e) 組成分析
f) 表面観察
2. 摩耗粒子のタイプ、発生源とその原因の特定
a) 切削摩耗粒子
b) 球状粒子
c) 厚片粒子
d) 層状粒子
e) 赤色酸化粒子
f) 黒色酸化粒子
g) 腐食粒子
h) 非鉄粒子
i) 摩擦ポリマー
B. 原子発光分析法
1. 元素の構成からみる摩耗粒子の特定方法の基礎
2. 連続した傾向の評価
3. ロックステップ傾向評価
4. 一般的な原子発光分析における粒子サイズの検出限界
5. 最先端技術
a) 酸・マイクロ波減衰
b) ロットロードろ過分析
6. XRF、その他の先端元素分析
IV. 潤滑剤劣化の分析
A. 酸化した基油による失敗
1. 酸化した基油による失敗の要因
2. 潤滑剤とその給油方法のリスクの認識
3. 基油の酸化を防ぐ(あるいは遅らせる)ための戦略
4. 基油の酸化を認識する効果
5. 基油の酸化の発見・トラブル対策のための強度、限界、適応性の試験
a) 酸価
b) 粘度
c) FTIR分析
d) RPVOT
e) 感応検査
B. 基油の昇温による失敗
1. 熱による劣化の原因
a) 表面熱劣化
b) 断熱圧縮による劣化
2. 昇温した基油のトラブル対策のための検知テスト - 強度、限界、適応性の試験
a) 酸価
b) 粘度
c) FTIR
d) 熱安定性試験 (ASTM D 2070-91)
e) 炭素不溶解物の超遠心分離による検査
f) 感応検査
C. 添加剤の消耗と劣化
1. 一般的な添加剤の消耗と劣化のリスク察知のメカニズム
a) 中和
b) せん断低下
c) 加水分解
d) 酸化
e) 熱劣化
f) 水による洗い出し
g) 粒子研磨
h) 表面吸着
i) 接触面のこすれ
j) 凝集体
k) ろ過
l) 凝集吸着
m) 蒸発
n) 遠心分離
2. 添加剤の減少と消耗の計測のための強度、限界、適応性試験
a) 原子発光分析
b) FTIR
c) 酸価
d) 塩基(アルカリ)価
e) 粘度指数(VI)
f) RPVOT
g) ブロッタースポット試験
D. 間違ったオイル添加物の検知
1. 粘度
2. 中和価(AN/BN)
3. 元素分析
4. FTI分析
5. その他
V. オイル分析プログラムの開発とプログラム管理
A. 機械固有の試験項目の選択
B. 分析の頻度の最適化
C. アラームと限界値の設定
1. 汚染限界値基準の設定
2. 統計的な派生レベル限界
a) データの編集
b) 平均値の計算
c) 標準偏差の計算
d) 平均標準偏差使用時の上限・下限の設定
e) 設備操作や保全の変更が及ぼす統計学への派生的な影響
3. 変更限界率
a) 変更率の計算
b) 傾斜基準のアラーム
c) 変更限界の統計学的派生率
4. 流体特性のための寿命限界の設定
a) 物性
b) 化学特性
c) 添加剤の特性
D. オイル分析情報の管理
E. オイル分析手順の創造と管理
F. 信頼性技術者、取引先、経営のためのオイル分析トレーニングへのスコープ
G. オイル分析と汚染管理プログラムのためのコスト/利益効率の分析
1. プログラムコストの計算
2. プログラムによる利益の推定
3. 投資回収の測定基準の計算
4. 効果的なビジネス要請の産出
H. 品質保証
1. 現場におけるオイル分析の品質保証
2. オイル分析ラボによる品質保証
本セミナー修了の方には、機械潤滑分析士(Machine Lubricant Analyst)「MLA III」の受検資格があります。試験問題は全て日本語に翻訳されています。 潤滑管理に関する基本的なトレーニングは、特殊領域での活動を支援し、危機的な状況に応酬する初期対応の技術基盤を作ります。そして、認証された資格は、技術者が仕事に対応するスキルを証明する重要な一翼を担います。トレーニングと資格の融合は、知識に富んだ価値のあるスタッフの育成に不可欠です。
ICML(International Council for Machinery Lubrication)検定試験は、機械の潤滑に関わる問題解決と信頼性保全を目的とし、潤滑技術・オイル分析専門士の適性を検定します。ICML認定証は、機械潤滑技術・オイル分析のプロであることを明示するものです。2008年10月に成立したISO18436-4「現場の潤滑剤分析士」のガイドラインに準拠した資格認定を実施しています。